給料の前借りとは?メリット・デメリットや関連する法律など全まとめ
「給料の前借りって何だろう?」
「前借りのメリット・デメリットが知りたい」
このようなお悩みはありませんか?
給料の前借りとは、従業員が働く前のお金を会社から借りることです。
前借り制度を利用することで、従業員は家族や消費者金融以外で「お金を借りる選択肢」を増やせます。
しかし、前借りには従業員・企業ともにデメリットも存在するため、内容をよく理解したうえで活用することが大切です。
そこで本記事では、
などをお伝えします。
前借りのメリット・デメリットや利用時の流れも紹介しますので、ぜひ最後までご一読ください。
▼従業員への資金提供方法を探している企業担当者の方へ
「前借り制度」は会社のお金が資金源となるため、貸し倒れリスクが発生します。
一方で、従業員の労働実績が確定しているものに対して支払う「給与前払い制度」の場合、貸し倒れを心配する必要はありません。
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前借りとは?給与前払いとの違いや関連する法律も紹介
はじめに、前借りにまつわる以下3つの内容を解説します。
さっそく、ひとつずつ見ていきましょう。
そもそも給料の前借りとは
給料の前借りとは、「従業員がこれから働いて獲得する予定の給与」を事前に受け取ることです。
前借り制度の細かなルールは企業ごとに異なりますが、一般的には消費者金融などと比較してお金を借りる際の利息が少なく済みます。
一方で、企業視点に立つと「労働実績がない状態」で貸し付けることになるため、貸し倒れリスクに気を付けなくてはなりません。
また、従業員からの前借り申請に対して企業側に応じる義務はないことから、そもそも前借り制度自体を導入していない企業も存在します。
前借りに関連する2つの法律
ここで、前借りに関連する法律を2つ紹介します。
お互いの立場を守るためにも、企業・従業員ともに正しく理解することが大切です。
【法律1】労働基準法第17条:前借金相殺の禁止
労働基準法第17条では、「前借金相殺の禁止」について定めがあります。
簡単にいうと、お金を貸していることを理由に、無理やり労働を続けさせるようなことがあってはなりません。
例えば、「前借り金を完済するまでは退職できない」といったルールを企業が設けた場合、労働基準法第17条に抵触する恐れがあります。
【法律2】労働基準法第24条:賃金の支払
前借り制度は、労働基準法第24条にも関与します。労働基準法第24条は、「賃金の支払」について定めた条文です。
つまり、企業は毎月の給与を「全額」従業員に支払うことが原則です。
例えば、従業員の同意なしで、いきなり前借り金の返済分を給与から差し引くようなことがあってはなりません。
前借りは適切に運用されていれば問題ないのですが、違法と判断されないよう気を付ける必要があります。
前借りと給与前払いとの違い
「前借り」と「給与前払い」の違いは、以下のとおりです。
先にも述べましたが、両者の大きな違いは「貸し倒れリスク」の有無です。
従業員の給与が元手になる「給与前払い」に対して、「前借り」は会社のお金が資金源になります。
そのため、前借りでは貸し倒れの発生に注意しなければなりません。
さらに、給与前払いを語るうえで欠かせないのが「労働基準法第25条」の存在です。
本条文では、従業員に「非常時払い」を申請する権利が認められています。
ただし、企業側が非常時払い申請に対応する義務があるのは、「既往の労働に対する賃金」のみです。
すなわち、非常時の「給与前払い申請」に対して企業は応じる必要があるものの、「前借り申請」は断っても違法にあたりません。
なお、給与前払い制度の概要やメリット・デメリットなどについては、下記記事でも詳しく解説しています。
前借りのメリット・デメリットは?
ここで、前借りのメリット・デメリットを従業員視点・企業視点に分けて紹介します。
よく理解しないまま前払いを活用すると、トラブルにつながる恐れもありますので、しっかり確認しておきましょう。
従業員が前借りするメリット・デメリット
従業員が前借りするメリットは、以下の2つです。
大半の企業は利息をつけずに前借り金を貸し出す傾向があるため、消費者金融などから借金するときよりも少ない返済額になることが多いです。
ただし、後からトラブルにならないように、利息の有無について事前に企業側と確認しておくことが大切です。
一方で、従業員が前借りをする際は、以下のようなデメリットがあることも理解しておかなければなりません。
大前提として、前借りに対するイメージは人によってさまざまです。
ただし、いくら普段の勤務実績が優れていても、前借り申請をすることで会社から「計画性がない」と判断される恐れがある点に注意が必要です。
また、前借りの場合、会社側に応じる義務はないため、そもそも借りられない可能性もあることを理解しておきましょう。
企業が前借り申請に応じるメリット・デメリット
続いて、企業が従業員からの前借り申請に応じるメリットは以下のとおりです。
従業員のなかには、誰にもお金の相談ができず、不安を抱えたまま業務に励む人もいるでしょう。
そのようなとき、企業が前借り制度を用意しておけば、従業員が安心できる生活設計のサポートができます。
ただし、企業にとって前借りはデメリットも多く存在します。
そもそも「前借り」は働く前に借りるものであるため、労働実績がありません。
例えば、従業員が前借りをして働かずに退職した場合、資金源は会社のお金であることから実損が出てしまいます。
上記のように、前借りにはリスクがあるため「本当に導入すべきか」事前に十分検討することが大切です。
前借りができるのはどのようなケース?
結論からお伝えすると、前借りができるケースに決まったものは存在しません。
なぜなら、そもそも前借りは会社側に応じる義務がないからです。
利用できるシチュエーションを含め、前借りのルールは各企業の裁量に委ねられています。
一方で、従業員が「非常時の前払い申請」をした場合、企業側には応じる義務があります。
ここでいう「非常時」に該当するのは、以下のようなケースです。
従業員による前払い申請は、労働基準法でも認められている権利です。上記に該当する方は、ぜひ会社に前払いを相談してみてください。
前借りの流れをSTEP方式で紹介
前借りの一般的な流れは、以下のとおりです。
事前に全体像を把握しておくことで、いざというときに対応しやすくなります。
それでは、詳しく見ていきましょう。
【STEP1】従業員が上司や所属長に前借りの相談をする
最初のステップは、従業員が上司や所属長などに前借りの相談をすることです。
このとき、前借り申請に応じる体制が整備されている企業であれば、従業員が申請書を提出するだけでスムーズに進むことが多いです。
一方で、整備が不十分な企業の場合は新たに制度を作るところから始まるため、前借り金が支払われるまでに時間がかかってしまいます。
したがって、前借りを希望する従業員は、早めに相談しておくと良いでしょう。
なお、派遣社員が前借り制度を利用したい場合、派遣先ではなく派遣元の会社に相談することになります。
【STEP2】従業員が「前借り申請書」を提出する
上司や所属長から前借りの許可が降りた場合、次のステップは従業員による申請書の提出です。
このとき、フォーマットが用意されている企業であれば、フォーマットを使用するとスムーズです。
もしフォーマットがない場合は、必要な項目が記載された申請書を作成する必要があります。
申請書に記載する項目の例は、次のとおりです。
なかには口約束だけで前借りが成立する企業もありますが、トラブル防止のためにも書面に残しておくのがベターです。
給料の前借りに関してよくある2つの質問と回答
最後に、給料の前借りに関してよくある2つの質問に回答します。
気になったものだけ、参考にしてみてください。
【質問1】パートやアルバイトからの前借り申請には応じるべき?
企業がパートやアルバイトからの前借り申請に応じる必要はありません。
なぜなら、雇用形態に関わらず、そもそも前借り申請事態に企業が応じる義務はないからです。
厚生労働省の公式サイトにも、次のように記載があります。
「前借り申請」ではなく、非常時の「給与前払い申請」に対しては、企業側に応じる責任があります。
【質問2】前借り以外に企業が資金を提供する方法は?
前借り以外に企業が資金を提供する方法は、「社内融資」「給与前払い」があります。
それぞれの特徴は次のとおりです。
従業員からすると、「社内融資」は一般的な借金と同様に利息が発生する点に注意が必要です。
一方で、企業視点に立つと「社内融資」や「前借り」には貸し倒れリスクがあることを理解しておかなければなりません。
なお、社内融資の特徴や企業が導入する際の注意点に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
また、貸し倒れの心配がいらない資金提供方法を導入したい場合、「給与前払い」がおすすめです。
ただし、企業が給与前払い制度を導入する際は、前払い関連業務の負担が発生してしまいます。
そこでおすすめなのが、業務負担を軽減できる「給与前払いサービス」の活用です。
給与前払いサービスに関しては下記記事で詳しく解説していますので、関心のある方はご参照ください。
給料の前借り制度を正しく理解しよう
今回は、給料の前借りについて解説しました。ここで、これまでお伝えした内容をまとめます。
企業が前借り制度を導入する際は「前借金相殺の禁止」や「全額払いの原則」など、労働基準法に則った運用が必須です。
また、前借りには企業・従業員ともにデメリットが存在します。給料の前借り制度を正しく理解して、活用すべきか検討しましょう。
なお、従業員が「非常時の前払い申請」をおこなった場合、企業側には応じる義務があります。
突然の申請に対して慌てることがないよう、事前に「給与前払い制度」を導入してみてはいかがでしょうか。
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