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電子マネーで給与デジタル払いする方法は?事前準備と4つの注意点

2023年4月に給与デジタル払いが解禁されました。

企業はスマートフォンの決済アプリや電子マネーなどを通じて、従業員に給与を支払えるようになります。

一方で、給与デジタル払いをする際の注意点や準備事項を知っておかないと、導入時に混乱しかねません。

そこで本記事では、下記の内容を解説します。

・ 電子マネーで給与デジタル払いするメリット・デメリット
・ 電子マネーで給与デジタル払いをするまでの流れ
・ 電子マネーで給与デジタル払いをする際の注意点

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そもそも給与デジタル払いとは?

給与デジタル払いとは、銀行口座を介さずデジタルマネー(決済アプリや電子マネーなど)を通じて給与を支払うことを指します。

従来、給与の支払い方法は「現金の手渡し」や「銀行の指定口座への振り込み」などに限定されていました。

しかし、2023年4月に給与デジタル払いが解禁されたことで「指定資金移動業者(※1)」の口座を通した給与支払いが可能となり、給与の支払い方法が増えました

※1お金を電子マネーなどのデータに変換し送金サービスをおこなう資金移動業者(PayPayなど)の中で、厚生労働省の審査によって指定された業者のこと。

2023年9月20日現在、指定資金移動業者の発表はありませんが、発表後には下記の内容が明らかになる予定です。

・ 資金移動業者の名称
・ 資金移動サービスの名称
・ 資金保全の仕組みに関する情報
・ 労働者からの同意取得時に記載が必要な情報 など

給与デジタル払いが解禁されると、政府が掲げる「キャッシュレス決済の普及」も進むことが予想されます。

下記の記事では、給与デジタル払いの仕組みや政府が解禁した理由などを解説していますので、あわせてチェックしてみてください。

電子マネーで給与デジタル払いするメリット・デメリット

メリット・デメリットを把握することで、自社に給与デジタル払いを導入すべきか判断しやすくなります。

まず、電子マネーで給与デジタル払いをするメリットは下記のとおりです。

【電子マネーで給与デジタル払いするメリット】

・ 従業員満足度が向上する
・ 企業イメージが向上する
・ 給与受け取りの選択肢が増えることで採用力強化を期待できる
・ 銀行振込の手数料を削減できる

電子マネーを利用している従業員が給与を電子マネーで受け取れるようになれば、キャッシュレス決済の利便性が向上し、結果的に従業員の満足感にもつながります。

新しい制度を導入すると、社会の変化に対応できる姿勢を社外にも示せるため、他社との差別化や企業のイメージアップにも効果的です。

また、電子マネーでの給与送金にかかる手数料は、銀行の振込手数料と比較して価格が低いことが予想されるため、手数料負担の削減を期待できます。

ただし、給与デジタル払いを希望しない従業員には銀行振込をする必要があるので、ある程度の振込手数料が必要になる点は理解しておきましょう。

続いて、電子マネーで給与デジタル払いをするデメリットは下記のとおりです。

【電子マネーで給与デジタル払いするデメリット】

・ 導入時の事務手続きが増える
・ 高額な給与振り込みには適さない
・ 預金保険制度の対象にならない
・ スマートフォン紛失時や電波不良時には使えない

後ほど「事前準備」でも説明しますが、給与デジタル払いの導入にはさまざまな手続きが必要です。

従業員が混乱しないように、システム面・ソフト面を整備しなければならないため、業務が煩雑化しやすくなることを理解しておきましょう。

また、給与デジタル払いで使用する口座は、資金の滞留を防ぐために上限額が100万円以下に制限されており、高額給与の受け取りには適していません。

さらに、金融機関が破綻したときに利用できる「預金保険制度」(※1)の対象外であり、資金移動業者が破綻した場合の対応はサービス提供企業ごとに異なります。

※1預金保険制度とは、金融機関が破綻し預金などの払い戻しができなくなったときに、一般人などは1,000万円まで保護される制度

ただし、厚生労働省は、保証機関が口座残高の全額を保証する仕組みを設けることを決めたため、資金移動業者が破綻したとしても口座の残高は支払われる予定です。

参考:資金移動業者の口座への賃金支払について|厚生労働省

給与デジタル払いのメリット・デメリットをさらに詳しく理解しておきたい方は、下記の記事をご覧ください。

電子マネーで給与デジタル払いをするまでの流れ

本章では、給与を電子マネーでデジタル払いするまでの流れを、下記の2つに分けて説明します。

・ 事前準備
・ 支払う方法

早速ひとつずつ確認しましょう。

事前準備

前提として、具体的な導入方法や手続き内容・手数料などは、指定資金移動業者が確定してから発表されます。

ここでは、事前に準備が必要になる部分について、ハード面とソフト面に分けて説明します。

ハード面
まず、ハード面では下記のような準備が必要です。

【ハード面】

1. 中間連携をするための事業者を選ぶ
2. 中間連携する事業者のシステムに合わせた出力用のデータ形式を決める
3. 従業員と連携するためのキー情報収集と登録
4. 給与システムからのコード決済・電子マネー用のデータ出力とシステムへの連携

現行の給与システムは銀行口座への振り込みを前提としているので、電子マネーの口座に送金できるような仕組みではありません。

そのため、給与デジタル払いをおこなうには、資金移動業者と自社をつなぐ中間業者のシステムを導入するか検討する必要があります。

ただし、外部の給与支払いシステムを利用している場合は、対応が不要なこともあります。詳細に関しては、使用しているシステムの提供元に問い合わせてみてください。

給与デジタル払いの導入を決めたあとは、従業員から下記の情報を収集しましょう。

・ 電子マネー支払いに利用するキー情報(資金移動業者口座番号)
・ 代替口座情報
・ 電子マネーで受け取る給与額

収集した情報を集約しつつ、給与システムとの連携作業を行います。

ソフト面

続いて、ソフト面で必要な準備は下記のとおりです。

【ソフト面】

1. 就業規則の給与規定を改正する
2. デジタル給与払いの導入に関して従業員へ周知する
3. 破綻時の保証やアカウントの有効期限などの必要事項を従業員に説明する
4. デジタル給与で支払うことについて、従業員と労使協定を結ぶ

電子マネーで給与を支払うためには、就業規則の給与規定を改正し「給与デジタル払い」を追加する必要があります。

デジタル給与での支払いは企業と従業員による合意が必要になるため、十分な説明をおこなったうえで従業員からの理解を得なければなりません。

規則の見直しが終わったら、労働基準監督署への届出も済ませておきましょう。さらに、下記の内容を従業員へ周知します。

【従業員へ周知すべき内容の例】

・ 給与デジタル払いの概要
・ 給与デジタル払いを開始するタイミング
・ 給与を受け取れるキャッシュレス決済サービスの種類
・ 給与デジタル払いの導入にともなって必要な手続き

従業員が疑問に感じやすい下記のような点も、あわせて説明しましょう。

・ セキュリティ上の不安(個人情報の流出など)
・ 決済サービス事業者が経営破綻した場合のリスク

説明事項と具体例は下記のとおりです。

給与デジタル払いに対して従業員が納得し、導入への賛同が得られたら労使協定を締結します。

労働者の同意なく給与デジタル払いをすると労働基準法に違反するおそれがあるため、必ず事前に同意を得てから導入しましょう。

なお、給与デジタル払いに関連する法律について詳しく知っておきたい方は、下記の記事をご一読ください。

給与デジタル払いをする方法

前述のとおり、以前の給与支払い方法は「従業員への直接手渡し」か「銀行振込」に限定されていました。

しかし、給与デジタル払いが解禁されたことで、下記のような流れで銀行を介さず給与を支払えるようになります。

1. デジタル給与を希望する従業員の給与計算をおこなう
2. 給与確定後、従業員の資金移動業者の口座に給与を送金する

給与を受け取った従業員は、残高を実店舗での支払いに利用したりECサイトでの買い物で使ったりと、あらゆる活用ができます。

企業担当者の方は、自社で給与デジタル払いを本格スタートさせる前に「従業員とスムーズにお金のやり取りができる」決済アプリを探してみてはいかがでしょうか。

例えば、きらぼしテックの『ララPayプラス』は、給与前払いサービス「前給」とも連携でき、受け取ったお金を幅広く活用できる決済アプリです。

【ララPayプラスの活用シーン】

・ オンライン・コンテンツでの支払い
・ ユーザー同士の個人間送金
・ ATMでの入出金
・ 実店舗での非接触決済

全国228万箇所以上の「QUICPay™(クイックペイ)」加盟店において、非接触決済ができます。

利用しやすく機能が充実している決済アプリであれば、従業員の満足度向上も期待でき、給与デジタル払いの利用が促進されると予想されます。

『ララPayプラス』は、今後も経費精算・福利厚生など、さまざまな便利機能を追加していく予定です。

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電子マネーで給与デジタル払いをする際の4つの注意点

電子マネーで給与デジタル払いをする際には、注意しなければならない点が4つあります。

1. 労使協定の締結が必要になる
2. 上限額が100万円以下に限定される
3. 銀行口座への振り込みも利用できるようにする
4. 指定資金移動業者と認められている企業しか利用できない

一部、これまでと重複する内容もありますが、気になったものがあればチェックしてみてください。

【注意点1】労使協定の締結が必要になる

電子マネーで給与デジタル払いをする前に、労働組合か従業員の過半数を代表する者と労使協定を締結する必要があります。

労使協定を締結する際は、下記の内容を記載しましょう。

・ 給与デジタル払いの対象となる労働者の範囲
・ 対象となる給与の範囲と金額
・ 取扱指定資金移動業者の範囲
・ 実施開始時期

従業員に対して給与デジタル払いへの移行を強制することはできないため、企業は従業員から「同意書」を提出してもらう必要があります。

「同意書」の書き方については、厚生労働省がフォーマットを紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。

※引用:厚生労働省

【注意点2】上限額が100万円以下に限定される

資金移動業者の口座は「預金」をするためではなく、支払いや送金をするためのものです。

そして、送金や決済などに利用しない資金を滞留させないようにする必要があるため、資金移動業者の口座は上限が100万円までと設定されています。

給与送金後の口座残高が100万円を超える場合は、あらかじめ設定している銀行口座への振り込みに変更されます。

その場合、銀行への振り込み手数料がかかることも理解しておきましょう。

【注意点3】銀行口座への振り込みも利用できるようにする

給与デジタル払いは、あくまで給与の支払・受取の選択肢の1つです。

そのため、従業員が希望しない場合は給与デジタル払いを強制せず、従来どおり直接手渡しか指定口座で受け取れるようにしなければなりません。

※引用:厚生労働省

給与の一部を電子マネーで受け取り、残りを銀行口座で受け取れるようにするなど、従業員が利用しやすい制度の設計が求められます。

【注意点4】指定資金移動業者と認められている企業しか利用できない

電子マネーで給与支払いする際の資金移動業者は、厚生労働省が認めた企業でなければなりません。

現在さまざまな企業が随時申請しており、審査を通過した企業の口座のみデジタル払い先として利用できます。

厚生労働省から指定された資金移動業者に関しては、同省のHPに順次記載される予定なので、導入を予定している企業はこまめにチェックしてみてください。

参考:資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について|厚生労働省

 電子マネーで給与デジタル払いをしてみよう

給与デジタル払いが解禁され、企業は電子マネーで給与を支払えるようになりました。

指定資金移動業者が発表されるまでは不透明な部分もありますが、事前準備や注意点を把握しておくと導入時の業務が増えても対応しやすくなります。

最後に、事前準備が必要なことをもう一度おさらいしましょう。

【ソフト面】

・ 就業規則の給与規定を改正する
・ デジタル給与払いの導入に関して従業員へ周知する
・ 破綻時の保証やアカウントの有効期限などの必要事項を従業員に説明する
・ デジタル給与で支払うことについて、従業員と労使協定を結ぶ

【ハード面】

・ 中間連携をするための事業者を選ぶ
・ 中間連携する事業者のシステムに合わせた出力用のデータ形式を決める
・ 従業員と連携するためのキー情報収集と登録
・ 給与システムからのコード決済・電子マネー用のデータ出力とシステムへの連携

給与デジタル払いを導入する際は、下記の点に注意しましょう。

1. 労使協定の締結が必要になる
2. 口座の上限額は100万円以下に限定される
3. 銀行口座への振り込みも利用できるようにする
4. 指定資金移動業者と認められている企業しか利用できない

政府がデジタル化を推進している背景もあり、今後は給与デジタル払いを導入する企業も増えると予想されます。

企業・従業員ともに多くのメリットがある給与デジタル払いを、積極的に導入してみてはいかがでしょうか。

なお当サイトでは、給与デジタル払いに関する情報を随時発信しています。気になった記事があれば、ぜひチェックしてみてください。

▼デジタル給与払いの解禁に向けて企業がやるべきことを把握したい方はこちら

▼給料の電子マネー払いに関するリスクを押さえておきたい方はこちら

▼下記の記事では、デジタル給与払い解禁に向けた国内の動きをまとめています

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